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はさみの即興アート


by vividtone

お母さんの日

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こころ  詩 金子みすず

お母さまは
大人で大きいけれど、
お母さまの
おこころはちいさい。

だって、お母さまはいいました、
ちいさい私でいっぱいだって。

私は子供で
ちいさいけれど、
ちいさい私の
こころは大きい。

だって、大きいお母さまで、
まだいっぱいにならないで、
いろんな事をおもうから。

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今日は、母の日ですね。
私にはいっぱいお母さんがいて、本当の母親のように慕っている大切な人がいます。
美也子さん、いつも怒ったり泣いたり笑ったりありがとう。
御殿場のお母さんも今日は会いに来てくれてありがとう。
会えない百々先生、お身体気をつけてね。
いつも感謝しています。
本当に本当に感謝しています。


●母との思い出といえば、エビフライの思い出です。

弟を妊娠中だった母。小学校1年生の私。
夜遅くに
「ちいちゃん、ママはとってもエビフライが食べたい!!食べに行こう!」
と言いだしました。

妊娠中の母の変なことを言い出すことには、もう慣れていました。
その頃、ファミリーレストランのココスがオープンしてチラシにも載ってました。
「見て、見てこれ!」っと言って指差したエビフライの輝かしいこと。
私の心も弾みました。

夜9時位だったかな。急いで支度しました。
二人…じゃなかった、三人は夜遅いココスへ。
母は目を輝かせて、メニューのエビフライを指差してウェートレスさんに注文。
私は、ドリアを頼みました。

注文した間、他の席に運ばれていくお皿を見ては、ウキウキする母。
私のドリアが運ばれてきました。
母は「よかったね」と、にこにこしています。

しばらくして母のエビフライが運ばれてきました。

「お待たせしました」
お皿がテーブルに置かれると、私はどきりとしました。

エビフライが小さいのです。チラシもメニューの写真も嘘です。

母は、じーっとエビフライを悲しそうに見つめていました。

「ちーちゃん、エビフライ小さいね」
私は何も言えず、うなずきました。
そっと顔を上げて母を見ると、
しゅん、としてエビフライを大きすぎるフォークとナイフでもてあそんでます。

私は、お母さんがかわいそうで仕方なくて、心がはちきれそうでした。
「ドリア美味しい?」
母がエビフライを二口で食べて言いました。
自分のドリアが美味しいことが申し訳なくて「あんまり」と、嘘をつきました。

それが、私の中に強く残る母の思い出です。

弟は、エビが大好きです。
今は自分で、エビチリを作って食べる弟。
いつか、このエビフライの話をしてあげよう。

あの少女のような母と、今の私は同じ歳位です。数え27歳。
そして、この「こころ」という詩を書いた金子みすずは、私と同じ歳で自害しました。

みすずの元夫はお金は持っていたけれど、酒で暴力をふるい女癖の悪い男だった。
「ふさえ(娘)を、3月10日に引き取りに行く」と、手紙をよこした。

当時、子供の親権を母親が持つのはほぼ無理であった。
そんなみすずが、その前日に写真を撮りに行き、帰り道で家族が大好きな桜餅を土産に買い、家に帰ってから娘と一緒のお風呂で大好きな歌をいっぱい歌った。
10日の朝、みすずは遺書を残して自害した。

「ふうちゃんを、おかあさんが私にしてくれた様に、こころの豊かな子に育てたい」
母ミチに育ててほしい、と命をかけるしか他に方法が浮かばなかったのだろう。

私の一番の夢は何だろう。
いつか、我が子を抱ける日が来るのだろうか。
できなかったら、どうしよう。母親になりたい。
そうしたら、きっともっとわかることができるだろうか。
私はいっぱい母と子の絵を作るけど、
いまだにわからないのは、自分がどちらの気持ちになって絵をつくるのか。

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いとしい子。

絵を久しぶりにまた描きたいな。
by vividtone | 2010-05-09 23:05